今やアニメ界にも浸透したラップ。日本ではまだ歴史は浅く、その起源は吉幾三の「オラ東京さいくだ」なのかもとも言われてますが真相ははっきりとしません。
しかし確実に言えるのは黒人が持つ民族的なリズムをそのまま輸入して日本人がやろうとすると滑稽になります。それは育った環境や耳にしてきた音楽の文化が違いますので理由は簡単です。
しかしそんな新しい文化を取り入れた日本人の中でも捻くれ者が少数いました。
その連中が今回ご紹介するこちら
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彼らは異端ゆえに表に出ることはありませんが、日本語で日本人がラップするとこの方がかっこいいということに気づいた稀な存在です。
かっこいい真の日本語ラップをご紹介します。
実はかっこいい日本語ラップのおすすめアーティスト
アンダーグランドの良さは自分達で0から作って自分達で売り込み自分達でライブのブッキングをし自分達で演じるという自由なところにあります、いわゆるD.I.Y精神です。
それゆえにレコード会社やマスメディアが集中する東京じゃないと必ずしもいけないわけではありません。しかしそれではプロモーションもろくにできず消えていってしまうアーティストも少なくありません。
今ではyoutubeなどで比較的に個人が浮上しやすく、時代は変わりました。
しかし当時twitterもなく現場に行かないと知ることがでず、偶然そこにいたら遭遇してしまったというスリリングな体験はあの時代にしか味わえなかったのかもしれません。
日本語ラップの地下闘技場!アンダーグランド
THINKTANK
東京都渋谷区恵比寿にまだ「みるく」というクラブがあった頃、当時のミュージックジャンキー達が夜な夜な集まっては煙を吐き吐き火花を散らしてた時代がありました。
そこで私はある夜彼らに遭遇してしまったんです。
グループの中心人物K-BOMB、何食ったらそううなるの?って思うようなルックスと非常に変態的な性格の彼がブレインなので一筋縄ではいきません。
しかしアルバム『BLACKSMORKER』は名盤です(前半だけで後半は変態!笑)
THA BLUE HERB
東京へのカウンター!
否、東京でチャラチャラしてるラッパーへの
「東京じゃなくても注目されることはできるんだよ」と実行力を見せつけた北海道の3人組!
当時メディアには意図してほぼ露出しないにもかかわらず、重鎮DJ KRUSHに気に入られサブカルくそ野郎(愛情を込めて!かつて私もそうでした)のバイブル「クイックジャパン」に特集を組まれた。
無名なのにフジロックに出場し、メディアが追いかけようと血眼になってる時にはバックパック背負って世界旅行を決め込んでケムに巻いたエピソードは、
「一体何者だ?」「どこにいるの?」とファン候補のヘッズ達をヤキモキさせました。
今では彼らのライブは自己啓発本ばりにためになる言葉の洪水です!
tha blue herbの最新アルバムがこちら。
「the best is yet to come(最高はまだ来てない)」が個人的に刺さりました。
フジロック2021にも出演し、今だに人に雇われず自分達の足で全国を何周もライブでドサ回るスタミナを持つ。
日比谷野音では「まさか台風とも待ち合わせしてるとは…」伝説のライブを収録!!
ILL SLANG BLOW’KER
福岡は天神を歩く変人達!
ジャズのレコードをただかけて(ノーギミック!小細工なし!)
マイクリレーをする輩(輩の姿勢のまま嫌味がなくカッコつけてないのがいい!)。何組かのグループが合流して結成された連合体です。
渋谷の地下クラブで中心人物で才能あふれるラッパーのYURAとニアミスして悔しい思いをしたもんです。
彼らが活動を続けてるのかは不明で福岡で遭遇したら目に耳に焼き付けましょう。(流石にもういないかも)
日本語ラップは文学的!
INDEN
名古屋の「土俵オリジン」というDJ集団の中の唯一のラッパーでDJ KRUSHから才能を見出されアルバムに抜擢された強者。独特の詩世界を展開し稀に東京にライブをしにきてた男。
「バイトのコロッケ屋より高い時給くれるならライブしにいくよ」と言い放つ。
個人名義の正式リリースはなし。曲もどれとははっきりさせず、正真正銘のレアなラッパー。
実際、DJ KRUSHのライブでは後ろからの逆光のライトで顔が見えず、人形のようなダンスを踊りながら1曲だけ登場したときは”妖精が出た”とすら感じたほど。
散文詩が文学的!
イルリメ
大阪のラッパーで自身でトラックを作り自身でラップをする本当に一人で全部やっちゃうラッパー!ライブもDJはつけず自身でサンプラーを巧みに操ってインカムでラップします。
1日2時間睡眠のショートスリーパーである。
クラムボンやさんまの娘IMALUともコラボ経験あり。関西の人だからなのか口が達者という印象。
SHINGO2
アメリカ西海岸で活動していたところ日本に逆輸入されブレイクした
USAアンダーグラウンド出身バイリンガルラッパー。
素直に日本っぽいエッセンスを取り入れており、言うなれば和風の概念をハリウッド映画で解釈したような印象。
日本人であることのアイデンティティを問いかける。少年のような見た目と政治風刺の色が濃い歌詞の内容が垣間見れるインテリジェンスラッパー。優等生!
SHUREN THE FIRE
進化型詩人!北海道稚内出身で札幌を活動拠点とするラッパー
フルートも演奏しライブではピアノとフルートとdjと”脚立”で予想できないライブを展開する。
忽然と姿を消し何年後かにトラックメイカーとしてチラッと顔を見せたと思えばまた消えたり。
繊細な印象があるが、詩はアバンギャルドでラップには収まりきれない才能を見せた、
今はどうしてるだろうかこの天才は。
日本語ラッパーはカッコイイんです!ヤンチャ男文化とラップ
アメリカのラップミュージックは黒人のイメージがあり、女性を周りに侍らせて日本でいうところの”チャラい”部類の音楽に見えます。
しかし、芸術的な視点で見ると表現の手法として他のジャンルになくボーカルが歌わない「おしゃべり」のようなスタイルで政治問題や社会風刺をするといった全く新しい表現方法で可能性しか感じないんです。
その文化を輸入して彼らがやってるファッションまでもコピーしてアメリカのスラングを日本人が言ってもちっともかっこよくなく、むしろ滑稽です。実は日本だと黒人という解釈ではなく硬派でソリッドな解釈の方が日本語ラップと相性がいい。
”音符は読めなくてもできる音楽”というメリットがありいわゆる劣等生たちに慕われた部分で言うとアメリカも日本もそこは共通してるともいえます。
日本のヤンチャ少年が自分達の意見をラップで主張したら非常にカッコ良かったのです!
実際のヤンチャさん達による日本語ラップ
舐達磨
全身に絵のアート、パンチパーマでワコマリアのアロハシャツを着こなす、根っからのルードラップグループ。
埼玉県を活動拠点とし、ファッションブランド「ワコマリア」が彼らをモデルとして採用しています。
リーダーで楽曲制作者のBADSAIKUSHのラップは、喉のビブラートが活かされておりずっと聞いていたいと思う心地よさがあります。
さらに彼がラップの前に咳払いをするのも一つのアクセントで、”煙に咳き込む”や”演説前に痰を咳ばらい”などのダーティーな意味を見出してしまうほど。
本人はただ癖でやってるかも。
いい意味でダーティなエッセンスとして楽曲がリアルな物に仕上げられる味付けになってます。
1LAW & JAMS ONE & BEAR B
リアルオリジナル岸和田少年愚連隊
雰囲気最高ですね!
MSC
新宿や新大久保を活動拠点にし活動をしていた集団。
フリースタイルダンジョンで活躍し、カフェも経営する傍らYOUTUBEも精力的に配信しているラッパーMC漢を中心としてます。彼によるリズム全シカトで抑揚が全くない棒読みで畳み掛けるラップはクセになるほど良いです。
今は漢がソロで活動しており、クルーは継続してるのか解散したのかは謎です。一筋縄で行かなそうな人たちなので黙認しておくことにします。
当時、深夜のクラブでライブを見たときは彼らと目が合うのが怖く冷や冷やしながら見た覚えがあります^^;
妄想族
世田谷区三軒茶屋で結成されたグループ。
シーンへの一番最初のアプローチが、その当時すでに人気を博していた”雷”というグループのライブ中にステージを乗っ取り、まさにゲリラでライブを遂行したと言う逸話があります(のちに両グループは師弟関係となる)
フリースタイルダンジョンでラスボスを演じた般若が在籍。
現在はリリースの情報を聞きませんのでグループが活動しているのかは謎。
私が見たライブでは登場した途端にお客さん達はビビっちゃって固まってしまい、皆棒立ち笑。妄想族がお客に乗り方をレクチャーしながら
「お前ら盛り上がれよバカヤロー」と叫んでたのを目撃したことがあります^^;
ZORN
”洗濯物を干すのもヒップホップ”(「MY LIFE」より)
という名パンチラインで徐々に知られる存在になった葛飾区新小岩を拠点とするラッパー。
母子家庭で荒れた生活を生きてきた実話を題材にした歌詞が特徴的で、たまにハッとさせられるフレーズを出すボキャブラリーは天才とすら思えます。
”弟とご飯に卵かけた 一家団欒に憧れた”(「家庭の事情」より)
単独で武道館公演や横浜アリーナでのライブも成功させており今後が期待できる若いラッパー。
まとめ
以上のアーティスト
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この11組をご紹介させていただきました。
ちょっと古いラインナップにはなりますが現役で活動されてる方々もいますので。何かの機会で遭遇したときに
「あ、かっこいいラップする人だ!」と
この記事を思い出していただけると嬉しいです。
今現在は”舐達磨”や”ZORN”など若手のラッパー達が精力的に活動していていつでも見に行けますので良かったらぜひ現場でそのかっこいいラップを聞いてみてください!
長くなりましたがこの辺で締めたいと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。